返せない奨学金は債務整理できる?注意点や保証人への影響は?

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返せない奨学金は債務整理できるのか?

この記事では、奨学金の債務整理ができるのかについて詳しく解説しています。

 

大学や大学院に進学する際、奨学金を利用する人も多く、今や2人に1人が何かしらの形で奨学金を利用していると言われています。

 

一方、大学や大学院の学費は卒業までに200万円〜500万円ともなり、奨学金の返済額も高額になることが多く、卒業後その返済に苦しむという事実が社会問題ともなっています。

 

借金の返済に困った時の救済措置として債務整理があるわけですが、「奨学金」を返せなくなったときには、一般の借金と同じように債務整理をすることができるのでしょうか?

 

結論から言うと、奨学金も債務整理をすることはできます。しかし、いくつかの問題点があり注意が必要です。

 

今回は、返せない奨学金を債務整理することはできるか?という疑問について詳しく解説していきます。

 

奨学金の種類

奨学金として最も一般的なものが「日本学生支援機構」の奨学金です。

 

これは、全ての大学、短大に加え、ほとんどの専門学校で利用することができ、返済義務のある「貸与型」です。

 

その中には、無利息の第一種奨学金と呼ばれるものと、利息付の第2種奨学金があります。

 

第2種奨学金は利息付ですが、その利息は上限3%と定められており、一般の賃金業者と比較すると格段に低いものとなっています。

 

奨学金も借金

奨学金というと、一般の貸金業者からの借入とは全くイメージが違い、借金という意識を持ちにくいものですね。

 

しかし、奨学金も日本学生支援機構などが貸し付けを行っている借入金であり、返済義務のある一つの借金といえます。

 

奨学金には保証人がつく

奨学金を借りるのは、学生本人です。したがって学生本人に返済義務があります。

 

教育ローンと混同しやすいのですが、一般的に教育ローンは、親が子の進学の資金調達のために申し込み、親が返済していくものです。

 

奨学金 教育ローン
借主 学生本人 学生の親
返済義務 学生本人 学生の親
借り方 毎月定額振り込み 一括振り込み
利息 卒業後に利息発生スタート 借入から即発生
返済開始 卒業後してから開始 借入の翌月から返済開始

 

上記の通り、奨学金は学生が借主になることから、申し込みの際には連帯保証人さらに保証人を立てなければなりません。

 

一般的には本人の両親と親族が保証人になる場合が多いです。

 

また、最近では保証料を支払って機関保証を利用するケースも少なくありません。

 

有効な債務整理は?

では、奨学金の債務整理に有効な方法があるのか考えてみましょう。

 

債務整理には大きく分けて、任意整理、民事再生(個人再生)、自己破産の3つがありますので、それぞれの方法について紹介していきます。

 

【参考】債務整理とは?債務整理の方法を解説!

 

1.任意整理

任意整理は、債権者と交渉し、過去や将来にわたる利息カットをすることで借金の減額を行います。

 

上記1で述べた通り、奨学金は無利息、また利息付でも上限がわずか3%という低利息しかつきません。

 

そのため、過去、将来の利息分をカットするといっても、正直なところそれほど効果的な減額は見込めないと言えます。

 

さらに、もともと低金利の貸与のため、日本学生支援機構では任意整理の和解に応じない可能性が高いです。

 

奨学金のほかにも、クレジットカードや消費者金融などからの借金が多い場合には、これらの高金利な負債のみを任意整理するという方法もあります。

 

この場合には、奨学金自体の返済は減りませんが、他の高金利な利息分をカットすることで、返済総額を減らせる可能性があります。

 

2.民事再生(個人再生)

民事再生は、負債総額を約1/5まで圧縮という、任意整理と比べてかなり大きな減額が期待できます。

 

さらに、再生計画が沿って返済すれば、減額した借金の返済が3年間から5年間で終わるため、その後も生活設計が立てやすいことでしょう。

 

また、自己破産のようにほとんどの財産を失うということがなく、家や車なども今までと変わらず保有することができることがポイントです。

 

しかし、借金の返済がなくなるわけではなく、手続き後も引き続き月々の返済は発生していくので、一定の収入がある人でないと利用できません。

 

さらに、民事再生は裁判所を通した法的措置のため、手続きも複雑で時間もかかることを念頭に置いておく必要があります。

 

3.自己破産

自己破産をすることにより、奨学金の返済はもちろん、そのほか全ての借金について返済の義務がなくなります。

 

このことから、経済的にまっさらの状態に戻り、一からやり直すことができるという魅力があります。

 

しかし、その分だけ失うものも多いといえます。

 

家、車など、ほとんどの財産を失うことは、人生における大きな痛手といえるでしょう。

 

月々返済しなければならない借金もゼロになりますが、生活自体も一からのスタートで、持ち家のあった人はアパートなどの賃貸で住む場所を探すことから始めなければなりません。

 

自己破産は、どうしても返せないときの最終手段として慎重に選択するべきです。

 

債務整理をするときの注意点

上記のように、奨学金を債務整理することは可能ですが、いくつかの注意点があります。

 

連帯保証人と保証人が返済義務を負う

任意整理では奨学金返済額の減額にあまり効果が期待できませんが、民事再生や自己破産では、返済額の大きな減額や返済義務の免除という効果が期待できます。

 

しかし、いずれの債務整理の方法をとるにしても、忘れてはならないポイントがあるのです。

 

それは、連帯保証人と保証人の存在です。

 

奨学金を申し込む際には、保証人を立てることが必須となっていました。

 

人的保障として、親や親族が連帯保証人や保証人になっている場合、債務整理後にはその返済は連帯保証人や保証人へ請求されてしまいます。

 

自己破産で返済免除となった全額はもちろん、任意整理や民事再生で減額された分についても、連帯保証人や保証人がその責任を負うことになります。

 

連帯保証人となった親に支払い能力がなかった場合には、親子で共倒れとなってしまう可能性もあるので、債務整理をする前に慎重に考えなければなりません。

 

なお、通常奨学金の返済は月々の返済となっていますが、債務整理をして返済が連帯保証人または保証人に移ったときには、一括返済が求められることになっています。

 

このようなことから、連帯保証人や保証人にとっては突然の惨事となってしまいますので、どうしても債務整理をしなければならない状況の場合には、連帯保証人や保証人になってくれている人に事前に説明する必要があります。

 

債務整理するとブラックリストに載る

債務整理の基本情報の一つとして、ブラックリストがありました。

 

個人信用情報に、その事故情報が5年から10年の間記載され、その間は新規借入が一切できないというものです。

 

このため、例えばクレジットカードを作りたいとき、車を買いたいときなどに支障をきたすことになります。

 

奨学金を債務整理する場合も例外ではなく、ブラックリストに載るため、その後5年から10年の間は不便を感じることがあるかもしれません。

 

【参考】債務整理とブラックリストの関係を詳しく解説!

 

奨学金の延滞料に注意

ところで、一般の借入の場合、返済が遅れると遅延利息が付きますが、奨学金も例外ではありません。

 

奨学金の場合、遅延利息として2.5%〜10%が付いてきます。

 

これは延滞利息としては決して高い利息ではありませんが、奨学金の場合は元本が大きいため、たとえ2.5%〜10%の利息でも、かなりの額となってしまいます。

 

こうして延滞期間が延びれば延びるほど、負債額が膨れ上がってしまいます。

 

なお、奨学金の返済が3か月滞ると、ブラックリストに登録され、新たな借入ができなくなる可能性があります。

 

また、9か月滞納が続くと一括返済を求められたり、その後も返済に応じない場合には、給料の振込口座を差押えられる強制執行などの法的措置を取られる可能性があります。

 

このように、奨学金といえども、その取立てはかなり厳しいといえるでしょう。

 

奨学金の返済が苦しいときの救済措置

奨学金の未返済や滞納は、以前から社会問題ともなっていますが、最近ではその取立てが厳しくなっていることが見受けられます。

 

不景気による就職難、低賃金なども相まって、将来のために苦労して大学を出たものの、返済に苦しむという若者が少なくありません。

 

このような中、奨学金返済のために自己破産に追い込まれるというような、悲しい結果を避けるべく、救済措置の強化も図られています。

 

1.日本学生支援機構の「減額返還制度」

減額返還制度は、毎月の返済額を半額にすることができる制度です。

 

返済総額が減るわけではないため、単純に返済期間は2倍となります。

 

しかし、毎月きちんと支払いができる金額の設定により滞納を防ぐことで、債務整理に追い込まれることを避けることができます。

 

この制度の利用には、収入などの条件があります。

 

減額返還制度 給与所得者 給与所得者以外
収入条件 収入300万円以下 所得200万円以下
被扶養者控除 38万円 38万円
親等への生活補助控除 38万円 38万円
一律控除 25万円 25万円

出典;日本学生支援機構「減額返還制度」について

 

災害や疾病により返済が困難な場合や、海外在住により返済が困難な場合など、状況に応じて減額返還が認められるケースもあります。

 

2.日本学生支援機構の「返還期限猶予(一般猶予)制度」

返還期限猶予(一般猶予)制度は、一定の条件を満たす場合に、最長12か月の返還期間の猶予を受けることができる制度です。

 

一度申し込むと、12か月間返済の猶予を受けることができます。

 

例えば、現在低収入で月々の返済が厳しい、病気で働くことができない等という場合には利用価値が大きいでしょう。

 

この制度は必要であれば、10年間連続で、毎年一度申し込むことができます。つまり最大10年間の猶予を受けることができるというありがたい制度です。

 

しかし、返還期限猶予制度は、返済額の総額や利息の減額があるわけではなく、単純に支払いが先延ばしになるというものです。

 

また、返還期限猶予の申請は、「失業中」「傷病中」「災害」「経済困難」「海外研修中」などの条件を満たす場合に限られています。

 

3.日本学生支援機構の「所得連動返還型無利子少額制度」

こちらは、新しい奨学金の制度で、就職してから年収が300万円に達するまでは奨学金の返済の猶予を受けられるというものです。

 

無事に就職をしても、新卒のうちは給料が少なく、奨学金の返済が厳しいことがあります。そのような場合には、年収が300万円を超えるまで、その返済を待ってもらえるというものです。

 

上記の「返済期限猶予制度」と違い、こちらの所得連動返還型無利子制奨学金では、10年という縛りがありません。

 

10年を超えてもとにかく年収が300万円を超えるまで、返済の猶予が受けられるのです。

 

ただし、この奨学金は、「第一種奨学金」に限られています。

 

第一種奨学金とは無利息の奨学金です。そのため、成績基準などが明確に設けられています。

 

また家庭の収入状況とも合わせて審査され、基準を満たしていても全員が採用となるわけではないなど、条件が多少厳しいものとなっています。

 

これらの奨学金返済に関する救済策は、返済が厳しい人にとって大変に利用価値の高いものです。

 

これらの制度を利用しながら、まずは滞納をしなことを念頭に少しずつでも返済を続けることが大切です。

 

一旦滞納が続いてしまうと、そこから負のスパイラルに陥ってしまいます。

 

長期にわたり滞納が続き、そして強制執行の段階になってしまうと、あとは手の打ちようがないので、そうなる前に専門家と相談することをおすすめします。

 

まとめ

今回は、返せない奨学金は債務整理できるか?という疑問について解説してきました。

 

以下にまとめます。

 

@奨学金も借金である。

 

A奨学金の返済が厳しい時には、債務整理をすることは可能。

 

B奨学金は、もともと利息の上限が3%に定められており、さらに元本の額が大きいため任意整理ではほとんど効果がない。また債券者側も交渉に応じない可能性が高い。

 

C民事再生(個人再生)では大きな減額、自己破産では全額免除を受けられる可能性が大きい。

 

D奨学金を借りる時は、連帯保証人や保証人を立てる必要がある。そのため債務整理での減額分が、連帯保証人や保証人へ行ってしまう。保証人に支払い能力がない場合は、親子で債務整理という事態が心配される。

 

E奨学金の取立ては厳しく、延滞が9か月続くと給与口座差押えなどの強制執行が行われる。そうなると、民事再生や自己破産に踏み切らざるを得ない。

 

F奨学金返済の主な救済措置3つ。1.減額返還制度、2.返還期限猶予(一般猶予)制度、3.所得連動返還型無利子少額制度。これらの制度は、返済総額を減額するものではないが、毎月の返済額を少額にしたり、返済期限に猶予を持たせて返済に十分な収入を得るまで期限を延ばしたりする制度である。これらを利用し、とにかく滞納せず、少しずつ返済していくことが大切。

 

 

なお、どの債務整理方法が自分に合っているかは、債務整理の専門家である弁護士や司法書士の無料相談を利用するのが便利です。

 

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