今回は、債務整理での遅延損害金のカットについて解説していきます。

多重債務で借金の額が増えてしまうと、元本にかかる利息がばかになりません。

また、返済が遅れてしまうと、それに加えて遅延損害金(延滞利息)が発生します。

遅延損害金は、借入残高、金利、延滞日数をもとに算出され、長い間延滞しているとあれよあれよという間に膨れ上がります。

すでに多額の借金を抱えているところへ、さらに膨大に膨らんだ遅延損害金を請求されるという、債務者にとっては頭の痛い問題です。

しかし、債務整理をすることで、この遅延損害金はカットすることができます。

 

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そもそも遅延損害金とはどういうもの?

キャッシングでもクレジットカードの利用でも、もちろん各種ローンでも、毎月の返済を怠ると、「遅延損害金」を請求されます。

この「遅延損害金」とは、どういうものでしょうか。

これは、借金の返済を滞った時に加算される一種の損害賠償金です。わかりやすく言うと、返済が遅れたことに対する罰金のようなものです。

遅延損害金の利息

借金の利息については、2010年以降、利息制限法上と出資法上の利息上限の統一が図られ、借入金額により変わるものの最高20%と定められました。

この法律上、「営業的金銭消費貸借上の債務不履行」に対する遅延損害金の上限も20%となっており、ほとんどの貸金業者、銀行が、20%の金利で遅延損害金を算出しています。

遅延損害金の計算式は次の通りです。

返済額×遅延損害金利率÷365(日)×延滞日数

返済額は、遅れた当月分の返済額ではない

上記の計算式をみて混乱しがちなことは、「返済額とは何か?」ということです。

支払いが遅れてしまった「当月分の返済額」と思いがちですが、実はそれは間違いです。

この「返済額」とは、「借入残高」を指します。

例えば、現在残っている借入残高の総額が50万円、月々の返済が1万円であったとします。

今月の支払いが遅れると、今月の支払い分1万円ではなく、借入残高の50万円に遅延損害金が科せられるのです。

遅延損害金の利率を20%、延滞日数を10日として計算してみましょう。

50万円×20%÷365日×10日=2,739円

このように、一度返済が遅れただけでかなりの遅延損害金が発生します。

借入残高がさらに多い場合や、延滞日数がさらに長い場合には、大変なことになることが容易に予想できるでしょう。

万が一返済が遅れてしまったら一日でも早く返済し、それ以上遅延損害金を増やさないようにすることが大切です。

遅延損害金をカットできる債務整理

遅延損害金は、放置すればするほど増え続けます。

例えば、クレジットカードなどの場合は、次回の支払い日に、本来の返済額に加え遅延損害金が上乗せした金額を支払うことになります。

本来の支払いだけでも精一杯という状況であると、さらに支払い額が増えることの負担は非常に大きいものです。

どうしても返済が厳しい場合、貸金業者によっては、月の最低返済額のみ支払えばよいというところもありますので、相談してみる価値はあります。

しかしこの場合、月の支払いをしても利息と遅延損害金を引かれたらほとんど残らず、元本が全く減らないというケースも大変多く、これが借金の恐さといえます。

さて、借金問題を抱えている人にとって更なる壁ともいえる遅延損害金、これを支払わなくて済む方法が一つだけあります。

それが債務整理です。債務整理には自己破産や民事再生、任意整理といった方法がありますが、それぞれの場合について解説していきます。

【参考】債務整理の方法を全て解説!

自己破産や民事再生の場合

自己破産や民事再生(個人再生)では、裁判所を通して大掛かりな手続きをすることにより、借金全ての返済を免責としたり、借金の大幅な減額をすることができます。

民事再生では住宅ローン以外の全ての借金、自己破産は全ての借金を一括整理となりますので、貸金業者からの借金や遅延損害金はその対象です。

これらの手続きをすることにより、遅延損害金も含めて、借金返済の負担は相当軽くなるといえます。

しかし、自己破産では失うものも多く、大きなデメリットもあります。裁判所を通した法的措置であることから、時間も費用もかかります。

民事再生では、住宅ローンは残すことができますが、そのほか全ての借金を整理することから、ローン返済中の車などがあれば基本的に手放すことになります。

また、裁判所を介した手続きですので時間と費用がかかります。

任意整理の場合

債務整理の中のもう一つの手段である任意整理では、整理する借金を選ぶことができます。

車を手元に残したい場合は、車のローンは整理の対象から外すことができます。

また、裁判所を通さず直接債権者と交渉し、債務総額の減額について和解する方法ですので、手続きも比較的容易で、費用も少なくて済みます。

借金の内容がキャッシングメインという場合には、よく利用される手段です。

任意整理は利息、遅延損害金をカット

ここでは、任意整理をするケースについて詳しく解説していきます。

任意整理の減額方法は、過去に支払った過払い金の返還、将来の利息カット、さらにはこのやっかいな遅延損害金のカットによるものです。

延滞が続いて膨大な遅延損害金がみるみる膨らんでしまった時でも、任意整理をすることにより、遅延損害金と利息をカットし、元本のみの支払いに減額してもらえるというわけです。

任意整理をする時は、通常、弁護士や認定司法書士に依頼し、債権者と返済方法や返済期間について交渉してもらいますが、弁護士や司法書士が介入することで、まずは貸金業者からの督促が止まります。

さらに、その月々の支払額や支払い期間についても、債務者にとって無理のない返済計画を立てることができます。

また、和解が締結するまでの間は、債権者への月々の返済が中断しますので、債務者にとっては生活を立て直す良いチャンスともなります。

滞納を続けているとどうなるのか?

月々の返済が滞ると、まずは貸金業者から督促状が届いたり電話連絡が入ったりします。

銀行口座に十分な残高がなかった、うっかり振り込み期日を過ぎてしまったなどという場合には、この時点ですぐに銀行振り込みなどで支払いをすれば、遅延損害金が膨れ上がることはありません。

経済的に返済が苦しく、督促状が届いても支払うことができずに放置しておくと、2か月から3か月ほどで、一括請求されてしまいます。

返済が残っている残高に、膨れ上がった遅延損害金が合算されるため、その合計金額は驚くような額になることも少なくありません。

一括では到底払えない、どうしたらよいのか?という時には、まず、その貸金業者に連絡して謝罪し、返済の意思があることを伝えましょう。

間違っても、これ以上放置してはいけません。誠意を見せることで、分割払いに変更してもらえる可能性もあります。

そうはいっても、返済ができていないのに貸金業者と話し合いはしにくい、できることなら隠れていたいと思ってしまう人も多いでしょう。

そのようなときには、即、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。相談が無料の弁護士や司法書士も多いです。

どうしていいかわからないからと言って、督促状が届いているのに何日も放置してしまうと、次は裁判所からの一括請求があり、一括返済できない場合には、給与の差押えなどの強制執行が実行されてしまいます。

この時点で、弁護士や認定司法書士に依頼をしても、もちろん債務整理の手続きはできますが、時間差で強制執行に間に合わないという可能性があります。

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まとめ

債務整理をすると遅延損害金をカットできるかどうか解説してきました。

借金の返済が遅れると遅延損害金が発生し、返済に大きな負担となってきます。

業者から遅延の連絡がきてすぐに返済ができればよいのですが、経済的理由から放置してしまうと、雪だるま式に膨れ上がり、おどろくような金額となる可能性もあります。

このような時、任意整理の手続きをすることで、多額の遅延損害金をカットすることができます。

同時に過払い金返還、将来の利息カットにより返済総額を減額することができるので余裕をもった返済計画を組むことができるでしょう。

延滞してしまった時、業者から督促状や一括請求が来てしまったら、間違っても放置せず、業者と話し合いをするか、弁護士や司法書士に債務整理の相談をしましょう。

 

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