今回は、債務整理と自己破産の違いについて詳しく解説していきます。

借金が膨らみ返済が困難になると、返済のためにさらに借金をするという最悪のパターンに陥ってしまうことがあります。

どうしようもなく追い詰められてしまう前に債務整理をすることによって、この負のサイクルから抜け出すことができます。

ここで、債務整理と自己破産はどう違うのか?と迷う人がいますが、実は、「債務整理」とは、いくつかある「借金を整理する方法」の総称です。

自己破産は「債務整理」のうちの一つです。

 

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「債務整理」は借金を整理するための手段の総称

債務整理という言葉自体が一般的に広まっており、ご存知の方も多いことでしょう。

この債務整理という言葉は漠然とした広い意味で解釈されることがあり、特に、任意整理と名前が似ている上、実際に任意整理のことを債務整理とする記述もあることから、混同してしまう人も多いようです。

実は、「債務整理」とは、借金を整理するための手段の総称です。

債務整理の中には4種類の方法があります。

  • ①任意整理
  • ②民事再生(個人再生)
  • ③特定調停
  • ④自己破産

 

このように、「自己破産」は、「債務整理」の中の一つです。また、「債務整理」の中には「任意整理」という名前の手続き方法もあります。

また、「過払金返還」という方法を聞いたことがあるかもしれませんが、これは「任意整理」の中の1つの手段となっています。

それぞれメリット・デメリットがある

上記に挙げた4種類の手段は、それぞれ特徴があり、メリット・デメリットが異なってきます。

個人個人の借金や収入の状況にあわせて、最適な手段を選ぶ必要があります。

任意整理

「債務整理」と最も混同しやすいものが、「任意整理」でしょう。ご覧の通りその名称も似ており、「債務整理=任意整理」と勘違いしやすいのですが、任意整理は債務整理の中の一つの手段です。

任意整理の特徴として、「裁判所を通さない」ことが挙げられます。そのため、手続きが比較的簡単で、手続き完了までの期間も短くて済みます。

通常、弁護士や司法書士に依頼し、弁護士や司法書士が債権者と交渉の上利息カットや過払い金返還により減額を行います。

減額に成功すれば、その後減額された借金残高を3年を目途に返済していきます。

また、多重債務の場合、整理する借金を選ぶことができます。

自己破産

自己破産は、背負っている借金を全て帳消しにする手続きで、手続き完了後は借金がゼロとなり、返済が残りません。

しかし、借金が帳消しになると同時に、必要最低限と認められる家財道具や現金を除いて、家や高価な車、有価証券、生命保険など、基本的に20万円を超える価値のある財産は、ほとんど失うこととなります。

もともと失うような財産がないという場合も多いのですが、逆にすべてを失うことで社会的信用も失ってしまったり、つらい思いをする可能性はあります。

また、整理する借金の選択はできません。保証人がついている借金があると、本人は返済義務を免れますが、代わりに保証人がその返済義務を負うことになります。

裁判所を通す手続きのため、手続きが煩雑で免責確定まで半年から1年かかるといわれています。様々な書類の提出が必須で、その収集にも時間と手間がかかります。

任意整理と自己破産の大きな違い

ここで、任意整理と自己破産の違いを見てみましょう。

①手続き後の返済の有無

任意整理と自己破産の大きな違いというと、まずは手続き後に返済が残るか残らないかの違いがあります。

任意整理の減額は、基本的に利息カットによる減額ですのでその減額幅は大きくはありません。

手続き後、残債を約3年で返済することからある程度の決まった収入があることが条件となります。

一方、自己破産では、全ての借金がゼロになり手続き後の返済はなくなります。そのため、安定した収入がない人でも利用することができます。

しかし、自己破産はその代償も大きく、生活に必要最低限な家財道具や現金以外、ほとんどの財産を失うことになり、一からスタートしなければなりません。

②整理の対象とする借金の選択

任意整理では整理する借金を選ぶことができます。

例えば、ローンが残っている車があるときは、その車のローンを整理から外すことで、車を手元に残すことができます。

または保証人がついているローンを債務整理から外すことで、保証人に迷惑をかけずに済みます。

一方、自己破産はどんな借金でも全て一括で整理しますので、保証人がついている借金があると、その借金返済は保証人に請求されてしまいます。

③手続き後の減額幅の大小

任意整理の減額幅は、他の債務整理の方法と比べると大きくはありません。

そのため、減額しても到底払いきれないような莫大な借金を抱えている人には不向きです。債務額の目安として、数百万円くらいまでが妥当といえるでしょう。

自己破産では、抱えている負債額がどんなに大きくても、手続き後にはそれがすべてゼロとなります。

どうがんばっても到底払いきれないような借金があるときには、自己破産が適しているでしょう。

ただし、家や高価な車など、保有しているほとんどの財産が没収されるというデメリットがあります。

その他の債務整理の方法

上述したように、任意整理、自己破産のほかにも、債務整理の方法があります。

①民事再生(個人再生)

民事再生は、裁判所を通して借金の総額を約1/5~1/10に減額してもらう方法です。

任意整理と比べてその減額幅が大きいことから、負債総額がさらに大きい場合に向いています。

手続き後は、減額した借金を3年を目途に返済していくため、安定した収入見込みのあることが条件となります。

民事再生では、整理する借金を選ぶことはできず、保証人がついた借金があるときには気を付けなければなりません。

しかし、住宅ローンだけは整理せず、家を残すことができるという大きなメリットがあります。

②特定調停

特定調停は、裁判所を通して行う任意整理のようなものです。

簡易裁判所に本人が申し立てをし、裁判所選任の調停委員の仲介の下、本人と債権者が減額の交渉を行います。

任意整理では弁護士や司法書士に依頼するため弁護士や司法書士の費用がかかりますが、特定調停では弁護士や司法書士に依頼する必要がありません。

裁判所への申立てから債権者との交渉、和解締結まで自力で行うため、弁護士や司法書士の費用を節約できることがメリットです。

しかし、調停委員はあくまでも中立の立場であり、依頼者に有利な交渉を進めてくれるわけではありません。

素人である依頼者が自分に有利なペースで交渉を進めることは容易ではなく、希望通りの条件で和解できない可能性があります。

また、過払い金を取り戻したい場合は、別途手続きが必要です。

まとめ

債務整理と自己破産の違いについて、納得いただけたでしょうか?

「債務整理」は、借金を整理する4種類の手段の総称であり、債務整理の中の一つが「自己破産」です。

任意整理

「債務整理」の中のもう一つの手段に、「任意整理」があり、その名前も似ていることから、債務整理=任意整理と勘違いしてしまうことがあります。

任意整理は、裁判所への申立てが必要なく、債務整理の4つの手段の中では最も手続きがシンプルです。

手続き完了後は、減額された借金を3年ほどかけて返済していきます。

毎月決まった収入見込みがあり、借金総額が数百万円くらいまでの人に向いています。

自己破産

自己破産は、裁判所を通し借金全ての返済義務を免責としてもらう手続きです。

手続き完了後の返済はゼロとなることから、収入が安定しない人でも利用できます。減額しても到底支払いきれないほどの借金がある場合には、大変ありがたい制度です。

しかしデメリットも大きく、保有するほとんどの財産を手放すことになります。これによりつらい思いをしたり、社会的信用を失ったりする可能性もあるので、借金が帳消しになるからと言って安易に選択してよいものではありません。

このほか、民事再生、特定調停という手段もあり、それぞれメリットデメリットがあります。

どの債務整理の方法が自分に最適かは、借り入れ総額、収入、家族、財産など、個々の状況によって全く変わってきますので、自分で判断することは大変難しいものです。

まずは専門家とに相談をして、失敗のないよう手続きを進めることをお勧めします。

 

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