民事再生(個人再生)とは、任意整理や特定調停で解決できない場合に検討される再建型の手続きで、破産手続き一歩手前の人向けのものと言えます。
民事再生法に基づいた手続きを行う方法で、以前は経営の苦しい企業(法人)が債務整理を行い再建するために使われる手続きでした。
そのため、民事再生というと企業の手続きというイメージがありますが、個人でも破産のデメリットを避けるためにニーズが高まり、民事再生を使って個人の借金問題を解決するケースも増えています。
ちなみに、個人が行う民事再生のことを、個人再生とか個人民事再生ということもあります。
ここでは、民事再生の中でも個人再生についてを中心に解説をしていきたいと思います。
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目次
民事再生(個人再生)の特徴
民事再生は、裁判所に申告し、債務(借金)を減額してもらう手続きです。任意整理や特定調停に比べて大幅な減額が行われ、減額された債務を3年から5年で完済することになります。
民事再生法は、平成12年11月に施行された比較的に新しい法律で、主に住宅ローンに関する特則により、マイホームなどの不動産物件を保守しながら、住宅ローン以外の債務を整理する方法です。
「住宅ローン以外の債務」ということは、多重債務に苦しむ個人を救うための法律という側面があります。
返済の方法は、個人事業主が使う小規模個人再生と、サラリーマン(給与所得者)が使う給与所得者等再生の2種類があります。
もう少し具体的にお話しすると、まず、住宅ローンの支払期間を最長で10年に延長することが出来ます(住宅資金貸付債権に関する特則)。
そして、負債総額の20%を3年間(最長5年)で返済することになります。負債総額の20%と言っても条件があり100万円以上~300万円以下となっています。
つまり、民事再生(個人再生)とは、住宅や不動産などの財産を手放さずに、借金を大幅に減らすことができる債務整理です。
小規模個人再生
小規模個人再生とは、住宅ローン以外の債務が5,000万円より少ない場合に使える方法で、定期的な収入がある人であれば使えます。
定期的な収入ということは、個人事業主でも出来ますし、サラリーマンでも出来ますが、サラリーマンの場合は後述する給与所得者等再生を使うことが多いです。
小規模個人再生は、債権者(貸し手)が再生計画に同意する必要がありますのでご注意ください。
給与所得者等再生
給与所得者等再生は、定期的な収入で安定的な(収入額の変動が少ない)場合にのみ使えます。つまり、サラリーマンのための方法だと言うことです。
細かい要件は小規模個人再生とは違いますが、住宅ローン以外の債務が5,000万円より少ない場合に使える方法という部分は同じです。
最大の違いは、小規模個人再生と違い、債権者の同意が必要ないので手続き上のリスクが低いと言うことが挙げられます。
どのように減額されるのか?
民事再生の場合、債務額に応じた返済額が定められています。
原則として債務額の1/5程度で、これに従って返済額の圧縮を行います。
減額した債務を3年から5年で支払うという再生計画案が裁判所で認められて始めて減額が行われます。
住宅資金特別条項で住宅も安心
民事(個人)再生の大きな特徴として、「住宅資金特別条項」があります。
これは、家を手放さずに住宅ローン以外の無担保借金のみを整理するための条項です。
この「住宅資金特別条項」を利用すると、ローンが残った住宅を残しながら、それ以外の債務を大幅に減額することができます。
任意整理でも住宅ローン以外の債務のみを整理することができましたが、民事再生では、その減額幅の大きさが魅力です。
さらに、住宅ローンの支払いについては、支払期間の延長やリスケジューリングが債権者の同意なしで可能という大きなメリットもあります。
この住宅資金特別条項により、民事再生は、住宅ローン返済中で家を残したい人にとっては、大変メリットが高く効果的な方法といえます。
民事再生のデメリット
ここまで民事再生のメリットを中心に紹介してきましたが、民事再生にもデメリットはあります。
- ①3年から5年の間に完済することが条件のため、今後も返済できる収入のある人が対象。
- ②約5~10年間は個人信用情報のブラックリストに載るため、新規借り入れはできまない。
- ③裁判所での法的手続きを踏むことから、国が発行する官報という機関紙に掲載される。
民事再生の手続きは弁護士か司法書士に依頼
民事再生の手続きは他の債務整理と同じく、基本的に弁護士か司法書士に依頼して行います。
弁護士や司法書士の無料相談を利用すれば、民事再生以外も含めてどの債務整理の方法が自分に合っているか等も教えてもらえるので便利です。
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